ブラジルのミュージシャン、ヒカルド·バセラールは、MPB(ブラジルのポピュラー音楽)の名曲を12曲収録した5枚目のソロ·アルバム『Congênito(コンジェニト)』を、8月5日にリリースします。本アルバムは、Spotify、Apple Music、Tidal、Deezer、Amazon Music等のプラットフォームで(https://ffm.to/jasminmusic-ultimopordosol)配信されるほか、日本国内の一部店舗でもCDフォーマットで販売されます。

Congênito(コンジェニト)には、生来の持って生まれたなどの意味があります。)

本アルバムでは、カエターノ·ヴェローゾ、ジルベルト·ジル、シコ·セザールなどの名曲の数々を、バセラールによる新たな解釈で堪能することができます。

本アルバム『Congênito(コンジェニト)』は、楽器の演奏、解釈、編曲、プロデュースの全てをバセラールがひとりで手がけた特別な作品です。選曲についてバセラールは、「リズムをモザイク状に組み合わせ、自分が好きな曲、統一感のある曲を集めようと思いました。このアルバムは、話法や歌を取り込み、原曲を再解釈する試みです」と語っています。

このアルバムからの最初のシングル曲「O último pôr do sol(オ・ウルチモ・ポル・ド・ソル)」(=「最後の日没」の意)について、バセラールは次のように語っています。「夢の中にこの曲のヴォーカルアレンジが出てきて、目が覚めときに頭の中に残っていました。ハープを彷彿とさせる中世起源のダルシマーなどのエキゾチックな楽器を、ピアノ、ストリングス、フルートと組み合わせました。アラブ音楽、ブラジル北東部の音楽、そしてサンバ·ヂ·ホーダ(バイーア地方に起源を持つサンバの源流のひとつ)の影響も受けています。ビリンバウを買ってきて数日間練習し、録音できるようにもなりました。」「私は前からこの曲が示唆するイメージが好きでした。今回私は、サウンドを探求し、この曲をブラジル文化の幾つものエッセンスで溢れる音の饗宴に仕上げたのです。」

<アルバム『Congênito(コンジェニト)』収録曲>

1 – O último pôr do sol (Lenine/Lula Queiroga)

2 – She walks this Earth (Ivan Lins/Vitor Martins/Chico César/Brenda Russell) 

3 – Congênito (Luiz Melodia)

4 – Morena dos olhos d’água (Chico Buarque)

5 – A tua presença morena (Caetano Veloso)

6 – Estrela (Gilberto Gil)

7- Mentiras (Adriana Calcanhotto)

8 – É preciso perdoar (Carlos Coqueijo/Alcyvando Luz)

9 – Paralelas (Belchior)

10 – Estrela da terra (Dori Caymmi/Paulo César Pinheiro)

11 – Lambada de serpente (Djavan)

12 – Maracatú Atômico (Jorge Mautner/Nelson Jacobina) 

·レコーディング/ミキシングスタジオ:Jasmin Studio(2022年1月~3月)

·録音技師:Melk

·ミキシング:Beto Neves

·マスタリング:Carlos Freitas

·ステレオおよびDolby Atmos

ヒカルド・バセラール(Ricardo Bacelar)プロフィール

ピアニスト、作曲家、プロデューサー。商業的な成功を収めたリオ発の音楽グループ「ハノイ·ハノイ」のメンバーとして長年活躍した。ソロとしても複数のアルバムをリリースしており、Belchior、Erasmo Carlos、Luiz Melodia、Adriana Calcanhoto、Ednardo、Lulu Santos、Amelinhaなどの大物ミュージシャンたちとレコーディングしてきた。バセラールは、米国のジャズ専門ラジオ局において2度に渡り、最も多く曲が放送されたミュージシャンとなった。また欧州や日本へのコンサートツアーも行っている。最近のアルバム2作、『Sebastiana』(2018)と『Ao Vivo no Rio』 (2020年)は、米国のジャズ専門ラジオ局でトップ50チャートにランクインした。バセラールは、ラテン·グラミー賞とグラミー賞の投票メンバーでもある。

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【参考資料】

<< ヒカルド・バセラールのキャリア >>

バセラールがヴォーカルを務めるのは本作が初めてではありません。1980年代にブレイクしたバンド「ハノイ·ハノイ」に参加していた時代にもヴォーカルを担当していました。「ハノイ·ハノイでの11年間で私は多くのことを学びました。ロックは直感的な音楽ですから、とても濃密でした。バンドと並行して、他のプロジェクトにも取り組み、様々なアーティストとレコーディングをしたり、プロデュースの仕事をしました。また、映画、広告、演劇、テレビ番組のための作曲も始めました。これらは私の成長にとって非常に重要な役割を果たしました」と彼は言います。

レッテルを貼られることを嫌うバセラールは、自由であることが基本だと考えています。「私はレッテルを貼られ、小さな箱に入れられることが好きではありません。たくさんの種類の楽器を演奏することによって、私はインストゥルメンタルの世界、ポピュラー音楽の世界、クラシック音楽の世界を行き来することができるのです。これは素晴らしいことです」とバセラールは語っています。

アルバム『Congênito(コンジェニト)』は、ブラジルの他、米国や日本など海外市場でもリリースされます。これまでも、アルバム『Sebastiana』(2018)と『Ao Vivo no Rio』(2020年)が米国のジャズ専門ラジオ局のトップ50に入っています。バセラールは次のように述べています。「海外で注目されるのは、私の作る音楽がブラジル的だからだと思います。私たちの文化はとても豊かで、アフリカやヨーロッパから多くの要素を取り入れています。さらにそこに、ボサノバを生み出した米国のジャズも混じり合わさっているのです。」

<< Jasmin Studioについて >>

本アルバム『Congênito(コンジェニト)』は、バセラールがセアラ州フォルタレーザ市に設立したJasmin Studioで録音されました。この作品は、自身のスタジオの機材を全て使いこなしたいという彼の思いと、コロナ禍のなかから生まれた、孤独な挑戦の結晶です。「幼い頃からレコーディングスタジオに興味がありました。祖父が家でショーロを奏で、それを全部録音していたことに影響を受けたのだと思います。私はそのカセットテープを聴いては夢中になっていたものです。」「私がやったように、ひとりで全ての楽器を演奏し、録音するには、大胆さとテクニック、そして多くの忍耐が必要です。非常に複雑なスタジオなので、レコーディングルームや機材を集中的に研究しなければなりませんでした。使う楽器のひとつひとつが、アルバムというサウンドの大釜に入れる調味料のようなものなのです。私は曲で実験を行い、何がうまくいくかを見極めます。この実験室的な作業が私は大好きなんです」とバセラールは言います。Jasmin Studioは国際的なオーディオ専門メディアでも取り上げられています。

<< Jasmin Musicレーベルについて >>

本アルバム『Congênito(コンジェニト)』は、バセラールが設立したJasmin Musicレーベルからリリースされました。本作の他、カイナン·カヴァルカンチと共作したアルバム『Paracosmo(パラコズモ)』、トニーニョ・オルタが特別参加したシングル「De passagem(デ・パサジェン)」も同レーベルからリリースされています。「スタジオを建設する過程で、自分のレコードを録音し、他のミュージシャンやアーティストとも仕事をするためのレーベルを設立するアイデアが浮かびました。スタジオにはDolby Atmosや3D音響など多くの技術が導入され、ラテンアメリカで最も重要なスタジオのひとつとなっています。このスタジオは、プロデューサー、ミュージシャン、作曲家としての能力をより発揮できるようにすることを目的としています」とバセラールは語ります。